2012/06/17

朝日新聞

   2012年 6月17日    (執筆・連載)

 書評 : [視線] ドングリトプスとマックロサウルス コラージュとフロッタージュのおはなし
          (中川淳 著、 水声社)


6月8日~10日

8日夜、京都に行く。祇園四条で大村さんと待ち合わせ。
立入好和堂に行き、村山秀紀さんに作品2点を預ける。
7月から始まる「梅原猛と10人のアーティスト」展出品作の額装を依頼。
三人で夕食後、8時半すぎに河原町五条のホテルに行く。
御茶の水美術専門学校の生徒70名近くが先生達と国内研修で京都に滞在、あるテーマにもとづいて発表するという。9日の午後にその講評を依頼されたのだが、私のスケジュールがあわなくなって、急遽8日の夜の途中段階でみんなの発表を見せてもらうことに。明日は、欠席する私のかわりに村山さんを中心に数人講評チームを結成の予定。
午後11時過ぎ無事終了。しかしJR線石山付近で人身事故のために延着、大阪に戻るのが大幅に遅くなる。

9日、朝から新大阪に向けて出発。またまた人身事故でJR環状線が動かない。途中で下し、タクシーで新大阪に向かう。なんとか間に合った。品川から逗子に。逗子からタクシーで神奈川県立近代美術館/葉山館で開催される「松本竣介展」オープニングに参加。岩手県立美術館の原田館長から、松本竣介のご子息を紹介していただく。美術館の水沢館長をはじめ関係者にもお目にかかり、私が松本竣介の絵をテーマに作品を作ることを報告する。
この報告を本日どうしてもする必要があるため、急遽葉山を訪れることになった。
「松本竣介展」は岩手で見たが、葉山でまたあらためて見て、いくつかの新しい発見をする。岩手での展示空間は、ほとんど「祈りの場」のようであった。葉山では、それとはまたひと味違う堅牢かつモダンな松本竣介があった。同じ楽譜を違った指揮者によって演奏しているような違いがあって興味深かった。
美術館を出る頃、京都での「お茶美」の催しも無事終了との報告が入った。
夕暮れの富士
*夕暮れの富士(帰りの新幹線から)

10日午前中からロケハンに出かける。松本竣介作品をテーマとする新作の背景となる風景を探す。まずは大阪市内大正区の中山製鋼所近辺の工場群を見学。戦後的風景、あるいは昭和の風景がまるごと残っている。中山製鋼所近辺は、住之江の名村造船跡地からの遠望として見える。この水越しの遠景もいい。
中山製鋼所付近

* 写真は、中山製鋼所近辺の風景。

大正区から住之江区あたりを午後2時過ぎまでうろつき、堺の宿院名物の「ちくま」の蕎麦、新在家「かん袋」のくるみ餅を食した後、高石市から泉北あたりのコンビナート地帯に行く。大阪市内から関空に行く時、いつも向かって右に見える工場地帯がずっと気になっていた。
とある場所から見える某化学工場の夜景が素晴らしいとの情報を得て、夜7時を越えるまで粘る。朝から晩まで、いろいろな風景を堪能。さてどんな風にこれらをとらえ、作品として活かすか。楽しみでもあり一苦労でもある。
夜のコンビナート

*写真は、夜のコンビナート。